## ミルズのパワー・エリートに匹敵する本
C. ライト・ミルズの『パワー・エリート』
は、1956年の出版当時、アメリカ社会における権力構造を鋭く分析し、大きな議論を巻き起こした社会学の古典的名著です。 本書でミルズは、政治、経済、軍事の各分野のエリートがどのように連携し、相互に地位を強化することで、巨大な権力を掌握しているかを詳細に論じました。
『パワー・エリート』に匹敵する本
を挙げるならば、同様のテーマを扱い、後世に大きな影響を与えた以下の書籍が考えられます。
ドワイト・マクドナルド『権力のピラミッド』（1944年）
ミルズよりも12年前に出版された本書は、アメリカ社会における権力構造を「ピラミッド」になぞらえて分析した先駆的な著作です。マクドナルドは、ピラミッドの頂点に君臨する「支配階級」が、経済力と政治力を駆使して社会全体を支配していると主張しました。
彼は、支配階級が所有する巨大企業が経済を牛耳り、政治献金やロビー活動を通じて政府に影響力を行使することで、自らの利益に有利な政策を実行させていると批判しました。 また、メディアや教育機関も支配階級の支配下に置かれ、大衆を操作するために利用されていると指摘しました。
マクドナルドの分析は、マルクス主義の影響を強く受けていますが、階級闘争という視点よりも、支配階級が巧妙な支配体制を築き上げている点に焦点を当てている点が特徴です。
G. ウィリアム・ドムホフ『支配者たち』（1967年）
ドムホフは、ミルズの分析をさらに発展させ、アメリカ社会における権力構造を、企業経営者、政策決定者、軍人からなる「支配者階級」が支配する「支配階級モデル」として提示しました。
彼は、膨大なデータと綿密な分析を通じて、支配者階級が企業の取締役会、政府の諮問機関、シンクタンクなどを舞台に緊密なネットワークを形成し、共通の利益のために連携して行動していると明らかにしました。
また、ドムホフは、支配者階級が自らの利益を守るために、選挙や議会政治を通じて間接的にではなく、直接的に政策決定に介入していると主張しました。 彼は、支配者階級が資金提供やロビー活動を通じて政治家をコントロールし、自らの意向に沿った政策を実行させていると批判しました。
ドムホフの著作は、アメリカ社会における権力構造の解明に大きく貢献し、その後の社会学研究に多大な影響を与えました。
これらの書籍は、『パワー・エリート』と同様に、権力構造やエリートの支配といった社会学的なテーマを扱っており、社会に与えた影響の大きさからも匹敵する歴史的名著と言えるでしょう。