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ミルの自由論の思想的背景

ミルの自由論の思想的背景

功利主義

 ジョン・スチュアート・ミルは、ジェレミー・ベンサムの思想を継承した功利主義者として知られています。『自由論』においても、自由の重要性を論じる根底には功利主義の思想が流れています。功利主義とは、「最大多数の最大幸福」を道徳の基準とする考え方です。ミルは、個人の自由が最大多数の幸福に貢献すると考えました。

啓蒙主義

 18世紀のヨーロッパ思想界を席巻した啓蒙主義も、『自由論』に大きな影響を与えました。啓蒙主義は、理性による社会進歩を信条とし、個人の自由と権利を重視しました。ミルの思想に見られる、個人の自律性や理性の能力に対する信頼は、啓蒙主義の強い影響を示唆しています。

ロマン主義

 理性や合理性を重視する啓蒙主義への反動として台頭したロマン主義もまた、『自由論』に影響を与えた重要な思想的背景の一つです。ロマン主義は、人間の感情や個性を重視し、画一的な社会に疑問を投げかけました。ミルの思想に見られる、個性の尊重や多様性への肯定といった視点は、ロマン主義の影響を受けていると言えるでしょう。

父親ジェームズ・ミルの影響

 ミルの父親であるジェームズ・ミルは、功利主義を唱えたベンサムの友人であり、哲学者・歴史家として功利主義を広めた人物です。幼い頃から英才教育を施されたミルは、父親の思想から強い影響を受けました。特に、個人の自由が社会の進歩と幸福に不可欠であるという考え方は、父親ジェームズの影響が色濃く反映されています。

妻ハリエット・テイラー・ミルの影響

 ミルの妻ハリエット・テイラー・ミルは、当時としては珍しく女性の権利を主張した人物として知られています。ハリエットはミルの思想に大きな影響を与え、『自由論』の執筆にも協力したと言われています。特に、女性の権利や社会における女性の立場向上に関する記述は、ハリエットの影響を強く受けていると言えるでしょう。

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