## ミルの自由論に匹敵する本
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ジョン・ロック著「統治二論」
ジョン・ロックの『統治二論』(1689年)は、近代西洋における政治思想史上の古典であり、自由主義思想の古典としても位置づけられています。 特に『第二論』は、自然状態、自然権、社会契約論、抵抗権といった概念を用いながら、市民政府の正当性を論じた画期的なものでした。
ロックは、人間は本来、他者の支配や干渉を受けることなく、生命、自由、財産を享受する自然権を持つと主張しました。そして、政府は被治者の同意に基づいて設立され、その役割は個人の自然権を保護することにあるとしました。もし政府が、被治者の同意なくしてその権利を侵害するようなことがあれば、人民は抵抗する権利を持つと説きました。
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ジャン=ジャック・ルソー著「社会契約論」
ジャン=ジャック・ルソーの『社会契約論』(1762年)もまた、政治哲学における古典の一つとされ、フランス革命を含むその後の社会運動に大きな影響を与えました。
ルソーは、人間は本来自由であるにもかかわらず、社会においては様々な束縛を受けているという「鎖」の概念を提示しました。そして、真の自由を実現するためには、個人の自由を全体意志、すなわち共同体の共通の善に一致させる必要があると主張しました。
社会契約論では、個々人が自分の権利をすべて共同体に譲渡し、その見返りとして市民としての自由を獲得するとされます。この社会契約によって形成される国家において、主権は人民に属し、人民は自ら定めた法律に従って統治されることになります。
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イマヌエル・カント著「純粋理性批判」
イマヌエル・カントの『純粋理性批判』(1781年)は、認識論における金字塔とされ、哲学史に巨大な影響を与えました。
カントは、人間の理性には限界があり、経験を超越した世界の真の姿を認識することはできないと主張しました。彼は、我々が認識できるのは、あくまでも我々の感性と悟性によって構成された現象界であり、物自体(物そのもの)は認識不可能であるとしました。
この立場は、それまでの形而上学に対する批判として提示され、人間の認識能力に対する新たな視点を提供しました。また、道徳や宗教といった領域についても、理性の自律性を重視する立場から考察し、自由と道徳律の関係を論じました。
これらの著作は、『自由論』と同様に、近代西洋思想の根幹をなす重要な概念を提示し、後の社会や思想に多大な影響を与えました。それぞれの著作は、自由、平等、権利、義務、国家、社会といった概念について、独自の視点から考察を加えており、現代社会においても重要な示唆を与え続けています。