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ミルの代議制統治論の対極

ミルの代議制統治論の対極

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プラトンの「国家」:哲人王による統治

ジョン・スチュアート・ミルの『代議制統治論』は、個人の自由と権利を最大限に尊重し、市民参加による政治を重視する代議制政府の重要性を論じた古典的名著です。一方、プラトンの『国家』は、哲人王による統治という、ミルの思想とは対照的な理想国家を描いています。

プラトンは、人間の魂を理性、気概、欲望の三つに分け、それぞれに対応する徳を 知恵、勇気、節制と考えました。そして、国家もまた、これら三つの要素から成り立ち、それぞれを体現する階層として、守護者、補助者、生産者が存在するとしました。

守護者は、理性と知恵を備えた哲学者であり、国家を統治する役割を担います。補助者は、気概と勇気を持ち、守護者を助け、国家を守ります。そして、生産者は、欲望に基づき、経済活動などを行います。プラトンは、真の正義とは、それぞれの階層が自分の役割を果たし、調和を保つことだと考えました。

『国家』では、民主制は衆愚政治に陥りやすく、個人の自由や権利を重視するあまり、国家全体の利益を損なう危険性を孕んでいると批判されています。一方、哲人王は、理性と知恵に基づき、私利私欲に走ることなく、国家全体の幸福を実現できるとされます。

このように、『国家』は、個人の自由や権利よりも、国家の秩序や統一を重視し、エリート主義的な政治思想を展開しています。これは、市民参加による政治を重視し、個人の自由と権利を最大限に尊重するミルの『代議制統治論』とは、まさに正反対の立場に位置づけられます。

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