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ミルの代議制統治論の周辺

ミルの代議制統治論の周辺

ミルと功利主義

ミルは、ベンサムの功利主義を継承しつつも、独自の修正を加えました。ベンサムが「最大多数の最大幸福」を重視したのに対し、ミルは個人の自由と自己実現を重視し、質的に異なる快楽があると主張しました。この考え方は、『代議制統治論』においても、個人の自由と権利を擁護し、多様な意見や能力が反映される政治体制を理想とする立場に表れています。

当時のイギリスの政治状況

19世紀のイギリスは、産業革命の影響で社会構造が大きく変化し、労働者階級が台頭していました。一方で、選挙権は限られた層にしか与えられておらず、議会改革を求める声が強まっていました。ミル自身も選挙法改正運動に参加し、普通選挙の実現を訴えました。『代議制統治論』は、こうした時代背景の中で書かれ、当時の政治状況に対する具体的な解決策を提示しようとするものでもありました。

代議制統治の理想と現実

ミルは、『代議制統治論』において、理想的な代議制統治の姿を描くとともに、現実の制度が抱える問題点も指摘しています。例えば、多数派による専制や、一部の特権階級による支配、政治腐敗などの問題を挙げ、その解決策を検討しています。特に、選挙制度については、比例代表制の導入を主張するなど、より公正で民主的な制度設計の必要性を訴えました。

『代議制統治論』の影響

『代議制統治論』は、出版当時から大きな反響を呼び、その後の民主主義理論に多大な影響を与えました。特に、個人の自由と権利を重視する立場から、代議制統治の意義と限界を論じた点は、現代の政治思想においても重要な意味を持っています。また、選挙制度や政治参加のあり方など、具体的な制度設計に関する議論も、現代の民主主義改革を考える上で参考になる点が多くあります。

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