ミルの「代議制統治論」の思想的背景
ミルが「代議制統治論」を執筆した背景
19世紀のイギリスは、産業革命の進展に伴い、資本家階級が台頭し、従来の政治体制に対する批判が高まっていました。
労働者階級の選挙権を求める運動も活発化し、フランス革命(1789年)の影響もあり、民主主義を求める声は日増しに強まっていました。
功利主義の影響
ミルは、功利主義の創始者であるジェレミー・ベンサムの思想を受け継いでいます。
功利主義は、「最大多数の最大幸福」を道徳の基準とし、政治においても、最も多くの人々の幸福を実現する体制が最良であると考えます。
自由主義の影響
ミルは、個人の自由を非常に重視しており、国家や社会から干渉を受けずに、自由に自己決定する権利を擁護しました。
この自由主義的な視点は、「代議制統治論」においても、個人の自由を保障する政治体制の必要性を主張する根拠となっています。
啓蒙主義の影響
ミルは、理性に基づいた社会改革を重視した啓蒙主義の思想にも影響を受けています。
啓蒙主義は、迷信や偏見を排し、理性と経験に基づいて社会を改善しようとする思想です。
ミルは、代議制統治こそが、理性的な議論と熟慮を通じて政治を行うことを可能にする体制だと考えていました。