## ミュルダールのアジアのドラマのメカニズム
アジアの貧困の悪循環
ミュルダールは、1968年に出版した著書『アジアのドラマ:南アジアの貧困に関する調査』の中で、アジアの貧困国が抱える問題を包括的に分析し、「悪循環」として提示しました。この悪循環は、経済的、社会的、制度的な要因が複雑に絡み合い、貧困が貧困を生み出す構造を生み出していることを示しています。
低い労働生産性
ミュルダールは、アジアの貧困国の多くが、低い労働生産性に悩まされている点を指摘しました。栄養不足、保健衛生状態の悪さ、教育不足などが、労働者の健康状態やスキルを低下させ、結果として生産性を低めていると彼は分析しました。
低い貯蓄率と低い投資率
低い労働生産性は、低い所得水準に繋がり、これが低い貯蓄率を生み出す要因となります。十分な貯蓄が形成されない状況下では、国内における投資も低迷し、経済成長が阻害されることになります。
低い技術水準
低い投資率は、技術革新や研究開発への投資不足に繋がり、低い技術水準を招きます。技術水準の低さは、生産性の向上を阻害し、更なる経済成長の停滞を生み出す要因となります。
人口増加
ミュルダールは、アジアの貧困国における人口増加の早さにも注目しました。人口増加は、一人当たりの資源を減少させ、貧困問題をさらに深刻化させる可能性があると指摘しました。
制度的要因
ミュルダールは、経済的な要因だけでなく、制度的な要因もアジアの貧困問題に深く関わっていると指摘しました。土地所有の不平等、非効率的な行政システム、腐敗などは、経済発展を阻害し、貧困の悪循環から抜け出すことを困難にしていると彼は分析しました。
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