ミュルダールのアジアのドラマと時間
ミュルダールのアジアのドラマにおける時間
グンナー・ミュルダールは、1968年に出版された著書『アジアのドラマ：貧困からの挑戦』の中で、西洋の近代化理論とは異なる視点からアジアの経済発展の可能性と課題を分析しました。 ミュルダールは、アジア諸国の発展を阻害する要因として、伝統的な価値観や社会構造を挙げながらも、西洋の植民地支配の影響も重視しました。
時間の概念
ミュルダールは、時間という概念を経済発展の文脈に組み込みました。彼は、「累積的因果関係の円環」という概念を用いて、低開発の状態が更なる低開発を生み出す悪循環を説明しました。 この悪循環から抜け出すためには、包括的な政策によって、教育、保健、農業などの様々な分野を同時に発展させていく必要があるとミュルダールは主張しました。
時間と開発戦略
ミュルダールは、開発戦略において時間軸を考慮することの重要性を強調しました。彼は、短期的な経済成長よりも、長期的な視点に立った持続可能な発展を重視しました。 彼の提言は、単に経済指標の向上を目指すのではなく、貧困の解消、教育の普及、保健医療の充実など、人間の福利の向上を最終的な目標とするものでした。