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ミヘルスの現代民主主義における政党の社会学を読んだ後に読むべき本

ミヘルスの現代民主主義における政党の社会学を読んだ後に読むべき本

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政治における党派心: 理性と選択

ロバート・マイケルスが1911年の著書『政党論』で示した「寡頭制の鉄則」は、あらゆる大規模組織、特に政党において、少数のエリートが必然的に権力を掌握するというものであり、現代の民主主義社会においても、その妥当性について多くの議論を呼んでいます。ミシェルスの議論は、組織の規模、資源の偏り、指導者と一般党員の知識や専門性の格差など、組織構造に内在する要因に焦点を当てています。

しかし、ミシェルスの理論は、それが提起した問題の包括的な解決策を提供しているわけではありません。特に、政治におけるイデオロギー、アイデンティティ、党派心といった要素を十分に考慮していないという批判があります。ミシェルスの理論は、組織構造のみに焦点を当てているため、人々が特定の政党やイデオロギーに惹きつけられる理由や、それが寡頭制の形成にどのように影響するかを説明することができません。

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政党の比較政治

一方、ラッツとマイアー=シャッツの『政党の比較政治』は、異なる国の政党システムを比較分析することで、ミシェルスの議論を補完し、さらに発展させるものです。この本では、政党を単なる権力闘争の舞台として捉えるのではなく、社会における様々な利益や要求を統合し、政治的意思決定につなげる重要なアクターとして位置づけています。

特に、政党システムの類型化、政党組織の変容、選挙における政党の役割、政党と政府の関係など、多角的な視点から現代民主主義における政党の役割を分析しています。また、政党システムは国や時代によって大きく異なること、そしてその違いは歴史的経緯、政治制度、社会構造などの複合的な要因によって生み出されることを明らかにしています。

例えば、アメリカのような二大政党制の国では、政党は幅広い支持を集めるために、中道的な政策を志向する傾向があります。一方、ヨーロッパ諸国のように多数政党制の国では、政党はより明確なイデオロギーや政策を掲げ、特定の支持層に訴えかける傾向があります。

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「寡頭制の鉄則」を超えて

ラッツとマイアー=シャッツの分析は、ミシェルスの「寡頭制の鉄則」が普遍的な法則ではなく、あくまで一つの傾向として捉えるべきであることを示唆しています。政党は、確かに寡頭制に陥る可能性を孕んでいますが、同時に、 accountability(説明責任)、transparency(透明性)、participation(参加)といった民主主義的なメカニズムを通じて、その弊害を抑制することができます。

重要なのは、ミシェルスの理論を現代の政治状況に照らし合わせ、その限界と可能性を冷静に見極めることです。ラッツとマイアー=シャッツの著作は、まさにその作業を行うための視点を提供してくれるでしょう。

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