ミヘルスの現代民主主義における政党の社会学を読む前に
ミヘルスの主張を理解するための予備知識
ミケルスは、著書『現代民主主義における政党の社会学』の中で、あらゆる組織、特に政党は、少数のエリートによって支配されるようになり、民主主義の原則とは相容れないと主張しました。 この「寡頭制の鉄則」を理解するためには、ミケルスが生きていた時代背景や、彼の思想に影響を与えた社会学、政治学の理論について、ある程度の知識が必要です。
ミケルスが生きた時代背景
ミケルスは、19世紀後半から20世紀前半にかけて激動のヨーロッパで活動した社会学者です。この時期、ヨーロッパでは、産業革命による資本主義の進展、それに伴う社会主義運動の高まり、そして第一次世界大戦の勃発など、大きな社会変動が起きていました。ミケルスは、こうした社会変動の中で、近代国家と大衆政党の発展に強い関心を持ちました。彼の思想は、当時のドイツ社会民主党(SPD)での経験や、社会主義運動の隆盛と挫折を目の当たりにした経験に大きく影響を受けています。
ミケルスに影響を与えた思想
ミケレスは、マックス・ウェーバーやガエターノ・モスカといった、当時の著名な社会学者たちと交流がありました。 特に、ウェーバーの官僚制論や、モスカのエリート論は、ミケルスの寡頭制の鉄則に大きな影響を与えたと考えられます。ウェーバーは、近代社会における官僚制の拡大と、それに伴う専門家や官僚による支配の不可避性を指摘しました。また、モスカは、いかなる社会においても、少数者による支配(エリート支配)が存在すると主張しました。ミケルスは、これらの思想を踏まえ、民主主義的な組織であっても、官僚制化やエリートの形成によって、寡頭制に陥る可能性を指摘したのです。