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マーシャルの経済学原理の対極

## マーシャルの経済学原理の対極

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カール・メンガー『国民経済学原理』(1871年)

アルフレッド・マーシャルの『経済学原理』(1890年)は、近代経済学、特に新古典派経済学の基礎を築いた金字塔として知られています。しかし、同時期に異なるアプローチで経済学を探求し、独自の経済学体系を構築した経済学者も存在しました。その代表格と言えるのが、カール・メンガーであり、彼の主著『国民経済学原理』は、マーシャルの『経済学原理』の対極に位置する歴史的名著として、現代経済学においても重要な意味を持ち続けています。

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方法論:帰納と演繹

マーシャルとメンガーの最も大きな違いは、経済学へのアプローチ、すなわち方法論にあります。マーシャルは、現実の経済現象を観察し、そこから一般的な法則を導き出す帰納法を重視しました。彼は、歴史や統計データなどを用いて、経済理論を構築しようとしました。

一方、メンガーは、人間の行動原理に基づいて、論理的な推論によって経済法則を演繹的に導き出す方法を採用しました。彼は、経済現象の本質は、人間の欲求とそれを満たすための手段との関係にあり、その関係を分析することで経済法則を明らかにできると考えました。

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価値論:客観的価値と主観的価値

もう一つの大きな違いは、価値論にあります。マーシャルは、財の価値は、その生産に要した労働量によって決まるとする労働価値説の影響を受けつつも、需要と供給の両方を考慮した価値論を展開しました。彼は、需要と供給が均衡する点で価格が決定すると考えました。

一方、メンガーは、財の価値は、それを必要とする人にとっての主観的な評価によって決まるとする限界効用理論を提唱しました。彼は、財の価値は、その財の追加的な一単位がもたらす満足度(限界効用)によって決まると考えました。

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影響:新古典派経済学とオーストリア学派

マーシャルとメンガーの経済学は、それぞれ異なる学派に受け継がれ、発展していきました。 マーシャルの経済学は、新古典派経済学の主流となり、現代経済学の基礎を築きました。

一方、メンガーの経済学は、ウィーザーやミーゼスなどの後継者によって発展され、オーストリア学派と呼ばれる学派を形成しました。オーストリア学派は、市場メカニズムの重要性や政府介入への批判などを主張し、新古典派経済学とは異なる独自の理論体系を構築しました。

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