## マーシャルの経済学原理の価値
**1. 経済学を体系化した画期的な書物**
「マーシャルの経済学原理」(Principles of Economics) は、1890年にイギリスの経済学者アルフレッド・マーシャルによって著された経済学の著作です。本書は、古典派経済学と限界革命の考え方を統合し、近代経済学の基礎を築いた画期的な書物として評価されています。
**2. 需要と供給の分析を深化**
マーシャルは本書において、需要と供給を分析する枠組みを提示し、価格が均衡点で決定されるメカニズムを詳細に説明しました。特に、需要の価格弾力性や供給の価格弾力性といった概念を導入することで、価格変化に対する需要と供給の反応をより正確に分析することを可能にしました。
**3. 時間要素を取り入れた分析**
マーシャルは、経済分析に時間要素を明示的に導入した点でも高く評価されています。彼は、「市場期間」「短期」「長期」という3つの時間区分を設け、それぞれの期間における生産要素の調整可能性を考慮することで、より現実的な分析を試みました。
**4. 限界分析の導入**
本書では、限界効用や限界費用といった限界的な概念を用いて経済現象を分析する「限界分析」の手法が積極的に導入されています。これは、当時の経済学界に大きな影響を与え、その後の経済学研究の主流となるミクロ経済学の発展に大きく貢献しました。
**5. 後の経済学者に多大な影響**
「マーシャルの経済学原理」は、20世紀初頭にかけて経済学の標準的な教科書として広く読まれ、ピグーやケインズといった後の時代の著名な経済学者たちに多大な影響を与えました。その後の経済学の発展にも大きく寄与したという意味で、本書は経済学史上に残る金字塔といえます。