マンハイムのイデオロギーとユートピアの構成
構成
本書は、大きく分けて以下の3部構成から成り立っています。
### 序論:イデオロギー概念の発見史
第1部では、マンハイムが本書を執筆するに至った問題意識、すなわち「イデオロギー」という概念の成立過程とその変遷を歴史的に辿っています。
まず、マルクスによる「ブルジョア的イデオロギー」 critique を出発点とし、その後のイデオロギー概念の変遷を、マンハイム自身の問題意識と関連付けながら解説していきます。
### 第1部 総論
第2部では、イデオロギーの概念規定とその機能、ユートピアとの関係性について、包括的に論じられています。
ここでは、マルクス的な「歪んだ意識」としてのイデオロギー概念を乗り越え、人間の思考様式と社会的存在との関連性に着目した、より広義なイデオロギー概念が提示されます。
さらに、イデオロギーと対概念として「ユートピア」を位置づけ、両者の相互作用によって社会変動がもたらされるという独自の社会認識論が展開されていきます。
### 第2部 個論
第3部は、具体的な思想や社会集団を例に挙げながら、第2部で提示された理論を検証していくパートです。
保守主義、リベラリズム、社会主義、ファシズムといった政治思想を分析し、それぞれの思想が内包するイデオロギーとユートピア的要素を明らかにすることで、理論の妥当性を示しています。
また、知識人の役割や大衆社会における政治的知識の問題など、現代社会における具体的な問題についても言及しています。