マルサスの人口論を面白く読む方法
マルサスが描いた「絶望的な未来」を擬似体験してみる
『人口論』は、食糧供給が算術級数的にしか増加しないのに対し、人口は幾何級数的に増加するという「マルサスの罠」を提唱し、人類の未来に警鐘を鳴らした書です。
現代社会では、食糧生産技術の進歩や家族計画の普及などにより、マルサスの予測は修正を迫られる部分も多いでしょう。しかし、だからといって本書の価値が薄れるわけではありません。むしろ、現代社会の常識を一度脇に置き、マルサスが提示した「人口増加による悲惨な未来」をありありと想像してみることで、本書はより一層興味深いものとなるはずです。
食糧不足が深刻化し、貧困と飢餓が蔓延する世界。資源をめぐる争いが絶えず、疫病や戦争が人口を抑制する…。このようなディストピア的な未来を想像してみてください。
「もしも自分がこのような世界に生きていたら？」
そう自問自答しながら読み進めることで、マルサスが生きた時代背景や彼の主張の根底にある問題意識を、より深く理解することができるのではないでしょうか。
現代社会との比較を通して、新たな視点を見出す
マルサスの主張は、現代社会にも通じる普遍的な側面を持っています。地球環境問題、資源の枯渇、格差の拡大…。これらの問題は、人口増加と無関係ではありません。
本書を読み進める際には、ぜひ現代社会が抱える問題と関連付けながら考えてみてください。マルサスは、人口増加の問題に対してどのような解決策を提示していたのでしょうか？ 彼の主張は、現代社会においても有効なのでしょうか？
現代の視点から『人口論』を読み解くことで、マルサスの先見性や限界、そして現代社会が抱える課題の根深さを、より鮮明に浮かび上がらせることができるでしょう。