マルサスの人口論の関連著作
マルサスの人口論の影響を受けた著作
トマス・ロバート・マルサスの『人口論』は、1798年の初版出版以来、経済学、社会学、政治思想など、多岐にわたる分野に多大な影響を与えてきました。人口増加が資源の制約を受けるというマルサスの主張は、多くの論争を巻き起こすと同時に、様々な思想家たちに影響を与え、彼ら自身の理論構築の契機となりました。以下に、『人口論』の影響を受けた歴史的名著をいくつか紹介します。
デヴィッド・リカード『経済学および課税の原理』(1817年)
リカードは、マルサスの友人であり、同時に知的論争相手でもありました。リカードは『経済学および課税の原理』の中で、マルサスの人口論を部分的に受け入れながらも、独自の経済理論を展開しました。リカードは、人口増加が地代の値上がりを通じて経済成長を阻害するという点でマルサスと意見を共有していました。しかし、リカードは、技術進歩や資本蓄積によって経済成長は持続可能であると主張し、マルサスの悲観的な見通しとは一線を画しました。
ジョン・スチュアート・ミル『経済学原理』(1848年)
ミルは、リカードの経済学を継承しつつ、マルサスの人口論も重要な要素として取り入れました。ミルは、『経済学原理』において、人口増加が賃金を低下させ、労働者階級の生活水準を悪化させる可能性を指摘しました。その一方で、ミルは、教育の普及や避妊などの人口抑制策によって、人口増加を抑制し、生活水準の向上を実現できると主張しました。
チャールズ・ダーウィン『種の起源』(1859年)
ダーウィンは、『種の起源』の中で、生物進化のメカニズムとして自然選択説を提唱しました。ダーウィンは、マルサスの『人口論』から、生物の個体数が環境収容力を超えて増加する傾向にあり、その結果、生存競争が生じるという考え方を導き出しました。ダーウィンは、この生存競争の中で、環境に適応した個体だけが生き残り、子孫を残すことができると主張しました。
アルフレッド・ラッセル・ウォレス『自然選択説への寄与』(1870年)
ウォレスは、ダーウィンとは独立に自然選択説を導き出した人物として知られています。ウォレスもまた、マルサスの『人口論』から影響を受けたとされています。ウォレスは、マルサスの考え方を生物進化に適用し、生物個体数の増加と環境収容力の限界が自然選択の原動力となると考えました。