## マルクス／エンゲルスの共産党宣言の原点
1. 時代背景
1848年2月に発表された「共産党宣言」は、19世紀ヨーロッパの激動する社会状況から生まれました。
* **産業革命の進展と資本主義の矛盾**: 産業革命によって生産力が飛躍的に向上する一方で、資本家階級と労働者階級の経済格差が拡大。貧困、失業、労働問題などが深刻化しました。
* **フランス革命の理念の広がり**: フランス革命で掲げられた「自由・平等・博愛」の理念は、ヨーロッパ中に広がりを見せ、人々の間に自由と平等を求める意識が高まっていました。
* **1848年革命**: 2月にフランスで始まった革命運動は、瞬く間にヨーロッパ全土に波及しました。人々は、封建的な支配体制や社会の不平等に対して立ち上がり、民主主義や社会改革を求めました。
2. 思想的背景
マルクスとエンゲルスは、当時の様々な思想潮流を批判的に継承しながら、独自の思想を構築しました。
* **ヘーゲル弁証法**: マルクスは、ヘーゲルの弁証法を唯物論的に解釈し直すことで、歴史は物質的な生産様式によって規定され、階級闘争を通じて発展するという「唯物史観」を打ち立てました。
* **フランス社会主義**: サン=シモン、フーリエ、プルードンといったフランスの社会主義者たちは、資本主義の矛盾を批判し、平等で公正な社会の実現を訴えました。マルクスとエンゲルスは、彼らの思想から多くの影響を受けながらも、その空想的・ユートピア的な側面を批判し、科学的な社会主義の確立を目指しました。
* **イギリス経済学**: アダム・スミスやリカードといった古典派経済学は、資本主義のメカニズムを解明しましたが、その矛盾や不平等を十分に認識していませんでした。マルクスは、彼らの労働価値説を批判的に継承し、資本主義における搾取の構造を明らかにしました。
3. 共産主義者同盟からの依頼
マルクスとエンゲルスは、1847年に結成された秘密結社「共産主義者同盟」に加盟し、その理論的指導者として活躍しました。
* **共産主義者同盟の結成**: 共産主義者同盟は、ヨーロッパ各地の社会主義者や労働運動家によって結成され、資本主義の打倒と共産主義社会の実現を目指しました。
* **「共産党宣言」執筆の依頼**: 共産主義者同盟は、自分たちの目的や綱領を明確に示すために、マルクスとエンゲルスに宣言の執筆を依頼しました。
これらの時代背景、思想的背景、そして共産主義者同盟からの依頼が重なり、「共産党宣言」は誕生しました。