## マルクス/エンゲルスの共産党宣言の仕組み
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第一部 ブルジョワジーとプロレタリアート
共産党宣言の第一部は、「ブルジョワジーとプロレタリアート」と題され、マルクスとエンゲルスが歴史をどのように捉えていたかを説明するところから始まります。彼らにとって、歴史とは、端的に言えば「階級闘争」、すなわち支配階級と被支配階級の対立と闘争の歴史でした。
封建制社会においては、封建領主と農奴の対立が主要な階級闘争でした。しかし、産業革命とそれに伴う社会構造の変化により、新たな階級である「ブルジョワジー」(資本家階級)が台頭しました。ブルジョワジーは、生産手段を所有し、労働者階級である「プロレタリアート」を雇用することで利潤を追求します。
マルクスとエンゲルスは、ブルジョワジーが社会に革命的な変化をもたらしたことを認めつつも、資本主義社会におけるブルジョワジーとプロレタリアートの関係は、本質的に搾取的なものであると主張しました。ブルジョワジーは、プロレタリアートの労働力を搾取することで、更なる資本蓄積を図り、自らの富を増大させていくからです。
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第二部 プロレタリアートと共産主義者
第二部では、「プロレタリアートと共産主義者」の関係について論じられています。マルクスとエンゲルスは、共産主義者がプロレタリアート運動の一翼を担うことを明確にしています。
共産主義者は、プロレタリアートの中にあって、プロレタリアート全体の利益を代表する最先進的な部分であるとされます。彼らの使命は、プロレタリアート自身の階級意識を高め、資本主義社会の矛盾を明らかにし、最終的にはプロレタリアートによる革命を指導することです。
この章では、共産主義者が目指す社会体制、すなわち「共産主義社会」についても説明されています。共産主義社会とは、私有財産が廃止され、生産手段が社会の共有財産となる社会です。そこでは、階級対立は解消され、すべての人が平等な立場で社会に参加できるようになります。
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第三部 社会主義および共産主義の文献について
第三部では、当時の社会主義思想や共産主義思想について概観し、それらの思想を批判的に検討しています。マルクスとエンゲルスは、当時の社会主義思想を、(1) 反動的社会主義、(2) 保守的またはブルジョワ的社会主義、(3) 批判的・ユートピア的社会主義と共産主義、の三つに分類しています。
(1) 反動的社会主義は、資本主義社会によって生み出された矛盾を解消しようとするのではなく、過去の封建的な秩序に回帰しようとする思想です。
(2) 保守的またはブルジョワ的社会主義は、資本主義社会の持つ問題点や矛盾を認めつつも、それを根本から変革するのではなく、改良によって解決しようとする思想です。
(3) 批判的・ユートピア的社会主義と共産主義は、資本主義社会の根本的な矛盾を指摘し、それを克服するためにプロレタリアートによる革命が必要であると主張する点で共通しています。しかし、マルクスとエンゲルスは、これらの思想が、プロレタリアートの現実的な運動と結びついていない点を批判し、自分たちの思想こそが、科学的な根拠に基づいた真の共産主義であると主張しました。
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第四部 諸政党に対する共産主義者の立場
最後の第四部では、共産党が当時存在した他の労働者政党に対して、どのような立場をとるべきかについて論じられています。マルクスとエンゲルスは、共産党は、他の労働者政党と協力していく必要があるとしながらも、最終的にはプロレタリアートの独立した政党として行動しなければならないと主張しました。
共産党は、プロレタリアート革命という共通の目標に向かって、他の労働者政党と共闘していく必要があります。しかし、同時に、共産党は、プロレタリアートの階級意識を高め、資本主義社会の矛盾を明確にするという独自の役割を担っています。そのため、共産党は、他の労働者政党に迎合することなく、独自の立場を堅持しなければならないのです。
マルクスとエンゲルスは、共産党宣言の最後を、「万の国プロレタリアート団結せよ!」という有名なスローガンで締めくくっています。これは、資本主義社会の矛盾は、一国だけの問題ではなく、世界的な問題であることを示しており、プロレタリアートが国際的に団結して闘争していくことの重要性を訴えたものです。
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