## マルクス/エンゲルスのドイツ・イデオロギーの位置づけ
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執筆の背景
「ドイツ・イデオロギー」は、カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによって1845年から1846年にかけて執筆されました。この時期、マルクスとエンゲルスは、当時流行していたヘーゲル左派の思想を批判的に検討し、彼ら自身の唯物史観に基づいた新たな思想を打ち立てようとしていました。
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内容と構成
本書は、未完成の原稿という形で残されており、全体として体系的な構成はとられていません。主な内容は、以下の通りです。
* ** Feuerbach論**: 当時の代表的な唯物論者であったルートヴィヒ・フォイエルバッハの思想を批判的に検討し、唯物論をさらに発展させようとする試み。
* ** マックス・シュティルナー批判**: 青年ヘーゲル派の一人であり、個人主義的な無政府主義を唱えたマックス・シュティルナーの思想を批判。
* ** 聖マックス批判**: シュティルナーと同様に青年ヘーゲル派に属するブルーノ・バウアー兄弟を批判。
* ** ドイツ社会主義と共産主義**: 当時のドイツにおける社会主義・共産主義運動を、フランスの社会主義運動と比較しながら、その特徴と限界を分析。
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歴史的な評価
「ドイツ・イデオロギー」は、マルクスとエンゲルスが初めて「唯物史観」を体系的に展開した著作として知られています。しかし、本書はマルクスとエンゲルスの存命中には出版されず、1932年にソ連で初めて全編が出版されました。そのため、マルクス主義の形成と発展に直接的な影響を与えたわけではありません。
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後世への影響
「ドイツ・イデオロギー」は、マルクスとエンゲルスの初期の思想を知る上で重要な文献として、20世紀半ば以降、マルクス主義研究者から注目されるようになりました。「下部構造」「上部構造」「イデオロギー」といった概念が初めて登場するなど、後のマルクス主義の理論展開に大きな影響を与えたと考えられています。
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