## マルクス/エンゲルスのドイツ・イデオロギーの感性
マルクスとエンゲルスは『ドイツ・イデオロギー』の中で、感性をめぐる問題を直接的に扱ってはいません。
彼らの関心は、ヘーゲル左派の青年ヘーゲリアンたちが展開する観念論的な歴史観やイデオロギー論への批判、そして唯物史観の提起にありました。
しかしながら、彼らの議論の随所から、感性に対する独特な理解を読み取ることができます。
まず重要な点として、マルクスとエンゲルスは、感性を人間と世界との直接的な関係性を示すものとして捉えています。 彼らは、人間はまず感覚的に世界と関わり、その経験を通して意識を形成していくと主張します。 この点において、彼らの感性理解は、観念論的な立場とは一線を画すものです。
さらに、マルクスとエンゲルスは、感性を歴史的なものとして捉えています。
彼らは、人間の感性は、社会的な関係や物質的な生産様式によって規定されると考えました。 つまり、特定の社会や時代における感性は、その社会の物質的な基盤や歴史的な発展段階によって影響を受けるとされます。
ただし、『ドイツ・イデオロギー』において、感性そのものが詳細に分析されているわけではありません。
彼らの関心はあくまで、唯物史観に基づいた歴史やイデオロギーの理解にあったためです。 しかし、彼らの議論の中に散りばめられた断片的な記述から、感性をめぐる彼らの独自の視点を垣間見ることができます。