## マルクス/エンゲルスのドイツ・イデオロギーを読む前に
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ドイツ・イデオロギー
とは何か?
『ドイツ・イデオロギー』は、カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによって1845年から1846年にかけて執筆された、しかしながら、著者たちの意図に反して生前に出版されることのなかった著作です。資本主義社会や、歴史、そして人間の意識に対する唯物論的な解釈を提示しており、後のマルクス主義の思想の基礎を築いた重要なテキストとして位置づけられています。
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なぜ読むのが難しいのか?
マルクスとエンゲルスの共著である『ドイツ・イデオロギー』は、その難解さで知られており、読破するには一定の準備と心構えが必要です。その理由としては、次のような点が挙げられます。
* **膨大な量と未完成性:** 当初の構想では大部の書物となるはずでしたが、様々な事情により完成には至らず、未完成な部分も含まれています。そのため、全体像を把握するのが難しい場合があります。
* **当時の時代背景:** 19世紀半ばのドイツ思想界を背景とした、ヘーゲル左派やフォイエルバッハといった思想家への批判が展開されています。そのため、当時の思想状況や論争についてある程度の知識がないと、理解が困難な箇所が生じます。
* **独特の用語と概念:** 唯物史観、階級闘争、イデオロギーなど、マルクス独自の用語や概念が多数登場します。これらの用語や概念を理解せずに読み進めてしまうと、内容が掴みづらくなってしまいます。
* **皮肉や風刺を交えた表現:** マルクス独特の皮肉や風刺を交えた表現は、時に読者を混乱させる可能性があります。
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どのように読むか?
『ドイツ・イデオロギー』をより深く理解するためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
* **背景知識の習得:** ヘーゲル哲学、特にヘーゲル左派の思想、フォイエルバッハの唯物論など、当時のドイツ思想界の状況について事前にある程度学んでおくことで、マルクスとエンゲルスの批判の矛先や論点が見えてきます。
* **全体像の把握:** まずは、全体像を掴むことを意識しましょう。詳細な部分にこだわらず、各章の要旨をまとめたり、解説書を参考にしながら読み進めることで、大まかな流れを理解することができます。
* **用語や概念の理解:** 重要な用語や概念が出てきた際には、その都度、辞書や解説書などを参照し、正確な意味を理解するようにしましょう。
* **批判的な視点:** マルクスとエンゲルスの主張を鵜呑みにするのではなく、常に批判的な視点を持って読み進めることが大切です。他の思想家の意見も参照しながら、多角的に考察することで、より深い理解へと繋がるでしょう。
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予備知識としてのおすすめ文献
* **マルクス/エンゲルス入門書:** マルクス主義や唯物史観の基本的な考え方を解説した入門書を事前に読んでおくことで、『ドイツ・イデオロギー』の内容を理解しやすくなります。
* **ヘーゲル関連書:** ヘーゲルの主著である『精神現象学』や『法哲学』は難解ですが、入門書や解説書を活用することで、ヘーゲル哲学の基本的な考え方を学ぶことができます。
* **フォイエルバッハ『キリスト教の本質』:** マルクスとエンゲルスが批判の対象としたフォイエルバッハの唯物論を理解する上で重要な著作です。