## マルクス/エンゲルスのドイツ・イデオロギーに匹敵する本
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社会学の想像力
(C.ライト・ミルズ, 1959年)
アメリカの社会学者C.ライト・ミルズによる本書は、社会学という学問分野を超えて、広く社会思想や政治思想に影響を与えた古典として知られています。
ミルズはこの著作で、「社会学的想像力」という概念を提唱しました。これは、個人と社会の関係性を深く理解するために、歴史的な文脈や社会構造といった大きな枠組みの中で、個人の経験や問題を捉え直す能力を指します。
彼は、当時のアメリカ社会における支配的なイデオロギーや知識人のあり方を批判し、社会学者が社会の問題に対して積極的に発言し、社会変革に関与していく必要性を訴えました。
「ドイツ・イデオロギー」と同様に、本書は既存の思想や社会体制に対する鋭い批判を含み、人間と社会のあり方を根本から問い直す視点を提示しました。
特に、権力構造やイデオロギーの問題、知識人の役割といったテーマは両書に共通しており、出版から半世紀以上経った現在でも色褪せない普遍的な問いを我々に投げかけています。