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マルクス/エンゲルスのドイツ・イデオロギーに影響を与えた本

マルクス/エンゲルスのドイツ・イデオロギーに影響を与えた本

フォイエルバッハ論

マルクスとエンゲルスの共著『ドイツ・イデオロギー』は、唯物史観の骨子を初めて体系的に提示した重要な著作として知られています。 この著作に大きな影響を与えた一冊として、ルートヴィヒ・フォイエルバッハの主著『キリスト教の本質』を挙げることができます。

フォイエルバッハは、ヘーゲル左派に属する哲学者であり、ヘーゲルの観念論を批判的に継承しつつ、唯物論的な立場から宗教批判を展開しました。『キリスト教の本質』においてフォイエルバッハは、宗教、とりわけキリスト教は、人間が自己疎外によって作り出した幻想であると主張しました。 彼によれば、人間は自身の持つ最高の能力や属性を神という超越的な存在に投影し、神を崇拝することで、自らを矮小化させているというのです。

フォイエルバッハの宗教批判は、マルクスとエンゲルスに深い影響を与えました。 彼らはフォイエルバッハの唯物論的な立場と人間中心主義的な思想を高く評価し、彼の宗教批判を社会批判へと発展させようとしました。 つまり、宗教だけでなく、国家や法律、道徳といった既存の社会制度もまた、人間が自己疎外によって作り出した幻想であり、人間の真の解放のためには、これらの制度を批判的に克服していく必要があると考えたのです。

『ドイツ・イデオロギー』の中で、マルクスとエンゲルスはフォイエルバッハの思想を批判的に継承しつつ、唯物史観の基礎を築き上げていきます。 彼らは、フォイエルバッハが人間を抽象的に捉え、歴史的・社会的文脈を軽視していると批判し、人間は物質的な生産活動を通して社会関係を形成し、歴史を動かす主体であると主張しました。

このように、『キリスト教の本質』は、マルクスとエンゲルスに唯物論的な視点と人間中心主義的な思想を提供し、『ドイツ・イデオロギー』における唯物史観の形成に大きな影響を与えました。

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