マルクス・アウレリウスの自省録を読む前に
ローマ帝国の時代背景について学ぶ
『自省録』は、ローマ帝国の最盛期に統治した五賢帝の最後の一人、マルクス・アウレリウスが書き記したものです。当時のローマ帝国は広大な領土を誇っていましたが、同時に内憂外患を抱えていました。ゲルマン民族の侵入や疫病の流行、経済の停滞など、皇帝の責務は多岐にわたり、その重圧は計り知れませんでした。マルクス・アウレリウスは、こうした時代背景の中でストア哲学を拠り所とし、自らの心を律し、最善を尽くそうとしました。『自省録』を深く理解するためには、このようなローマ帝国の時代背景や、彼が皇帝としてどのような立場に置かれていたかを理解することが重要となります。
ストア哲学の基本的な考え方を理解する
『自省録』は、ストア哲学の影響を強く受けた書物です。ストア哲学は、理性、道徳、自然に従って生きることを説く哲学です。ストア哲学では、我々がコントロールできない外部の出来事に心を乱されるのではなく、自分の内面を律し、理性的に行動することで幸福を得られると考えます。マルクス・アウレリウスは、『自省録』の中で、ストア哲学の教えを自らの経験を通して考察し、実践しようと苦闘しています。彼の思索をより深く理解するためには、ストア哲学の基本的な考え方、例えば、「理性に従うこと」「運命を受け入れること」「徳に従って生きること」などを事前に理解しておくと良いでしょう。
『自省録』が日記や回想録ではなく、アウレリウス自身の哲学的思索の記録であることを意識する
『自省録』は、しばしば日記や回想録と mistaken なされますが、実際にはアウレリウスが自分自身に向けて書き記した哲学的な思索の記録です。そこには、彼の個人的な感情や出来事についての記述はほとんど見られず、ストア哲学の教えに基づいて、どのようにすればより良く生きることができるのかを自問自答する姿が描かれています。そのため、『自省録』を読む際には、単なる歴史書や個人的な記録として読むのではなく、そこに込められた哲学的なメッセージを読み解く姿勢が大切です。