マルクス・アウレリウスの自省録の表現
表現の特徴
マルクス・アウレリウスの『自省録』は、彼自身の思索を書き留めたものであり、本来公開を意図したものではありませんでした。そのため、文体は簡潔で率直な言葉遣いが特徴です。修辞や技巧を凝らした表現は少なく、自己との対話のための実用的なギリシャ語で記されています。
格言的な表現
『自省録』には、簡潔ながら深遠な意味を持つ格言的な表現が多く見られます。これは、ストア哲学の教えを短くまとめようとするアウレリウスの意図を反映していると考えられます。
比喩表現
抽象的な哲学的概念を分かりやすく説明するために、比喩表現も用いられています。例えば、人生の短さを「煙」や「泡」に喩えたり、理性に従うことの重要性を「流れに逆らって航海する船」に喩えたりする表現が見られます。
反復と対比
重要な概念を強調するために、同じ言葉や表現が繰り返し用いられることがあります。また、対照的な概念を並べることで、それぞれの意味をより明確にする対比の技法も用いられています。
引用
『自省録』には、ストア哲学の創始者であるゼノンや、アウレリウス自身が師事したエピクテトスなどの言葉が引用されています。これらの引用は、ストア哲学の教えを再確認し、自らの思索を深めるために用いられています。