## マルクス・アウレリウスの自省録の周辺
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執筆の背景
『自省録』は、第16代ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスが、彼自身のために書き留めた個人的な覚え書きです。 日々の出来事や思索、ストア哲学に基づく教訓などが記されています。
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成立時期と場所
『自省録』は、マルクス・アウレリウスが治世後半の170年から180年にかけて、軍営の中で記したと考えられています。特に、ゲルマン人との戦いの最中に書かれた部分が多いとされています。
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言語と構成
『自省録』は、ギリシャ語で書かれています。これは、当時のローマ帝国の上流階級において、ギリシャ語が教養言語として広く用いられていたためです。全12巻からなり、各巻は時系列順ではなく、テーマごとにまとめられているわけでもありません。
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内容
『自省録』には、ストア哲学の影響を強く受けたマルクス・アウレリウスの思想が色濃く反映されています。 自己の理性に従って生きることを説き、欲望や情念に支配されないこと、運命を受け入れること、徳を追求することなどを繰り返し説いています。
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発見と出版
マルクス・アウレリウスの死後、『自省録』は長らく日の目を見ることはありませんでした。 10世紀頃に東ローマ帝国で写本が作られましたが、その後再び忘れ去られます。 16世紀にスイスで写本が発見され、1558年に初めて出版されました。
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影響
『自省録』は、出版以来、多くの哲学者や思想家に影響を与えてきました。 ストア哲学の代表的な著作の一つとして、現代でも広く読まれています。 自己啓発書としても人気があり、理性的な生き方や心の持ち方を学ぶための指針として、多くの人々に読まれています。