マルクス・アウレリウスの自省録の世界

「自省録」が書かれた2世紀のローマ帝国は、パクス・ロマーナと呼ばれる平和と繁栄の時代を迎えていました。トラヤヌス帝の治世に最大版図を築き、地中海世界を支配していました。五賢帝の一人として知られるマルクス・アウレリウスは、この広大な帝国を統治していました。

「自省録」は、ストア派哲学の影響を強く受けています。ストア派は、理性に従って生きること、欲望や情念に支配されないこと、運命を受け入れることなどを説きました。マルクス・アウレリウスは、ストア派の教えを自身の経験を通して深め、日々の生活の中で実践しようと努めました。

「自省録」は、マルクス・アウレリウスが自身に向けて書いた、アフォリズム（格言）や短い文章の集まりです。体系的な哲学書ではなく、日々の出来事や自身の内面に関する率直な省察が綴られています。

「自省録」には、死、義務、理性、自然、 Tugend (徳) などのテーマが繰り返し登場します。

– **死:** 死は自然なものであり、恐れるべきものではないと説いています。

– **義務:** 皇帝としての責任を果たすこと、人間として正しい行いをすることを重視しました。

– **理性:** 理性に従って生きることで、感情の乱れを抑制し、正しい判断ができると考えました。

– **自然:** 自然の一部として生きること、自然の法則に従うことの重要性を説いています。