マリノフスキの西太平洋の遠洋航海者の発想
マリノフスキの研究対象
ブローニスワフ・マリノフスキは、20世紀初頭の著名な人類学者であり、特にメラネシアのトロブリアンド諸島における長期にわたる参与観察を通して、近代人類学の礎を築いた人物として知られています。彼の研究は、それまでの進化主義的な視点から脱却し、文化相対主義に基づいた詳細な民族誌によって、未開社会とされてきた人々の社会や文化を理解しようとするものでした。
遠洋航海者への着目
マリノフスキは、トロブリアンド諸島における研究の中で、彼らが優れた航海術とカヌーの建造技術を持ち、周辺の島々と活発な交易を行っていることに注目しました。彼は、この交易システムであるクラに深く興味を抱き、その複雑な贈与と返礼の仕組みを詳細に分析しました。
クラにおける遠洋航海の役割
マリノフスキは、クラにおける遠洋航海は単なる物資の交換のためだけのものではなく、社会的な紐帯を強化し、権威や名声を築くための重要な手段であることを明らかにしました。彼は、危険を伴う航海を通して貴重な装飾品などを交換することによって、男性たちが社会的な地位を高め、リーダーシップを発揮していく過程を詳細に記述しました。