## マリノフスキの西太平洋の遠洋航海者の位置づけ
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マリノフスキの活動
ブロニスワフ・マリノフスキ(1884-1942)は、20世紀初頭に活躍したポーランド出身のイギリスの人類学者です。彼は、参与観察という手法を体系化し、近代人類学の礎を築いた人物として知られています。
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西太平洋の遠洋航海者への関心
マリノフスキは、1914年から1920年にかけて、メラネシアのニューギニア島北東沖に位置するトロブリアンド諸島で長期間のフィールドワークを行いました。そこで彼は、クマジと呼ばれる精巧な交易システムに注目しました。クマジは、貝殻の腕輪や首飾りを、数十もの島々を巡る航海を通じて交換する大規模なネットワークです。
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『西太平洋の遠洋航海者』における分析
マリノフスキは、1922年に出版した著書『西太平洋の遠洋航海者』の中で、クマジの詳細な分析を行いました。彼は、クマジを単なる経済活動としてではなく、トロブリアンド諸島の社会構造、政治体制、宗教、そして人々の精神生活に深く結びついた複雑な社会現象として捉えました。
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機能主義的解釈
マリノフスキは、クマジが人々の物質的なニーズを満たすだけでなく、社会の秩序と統合を維持する機能を果たしていると論じました。彼は、クマジを通して、人々が互いに協力し、贈与や返礼を通じて社会的な絆を強化していく様子を詳細に記述しました。
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文化相対主義的視点
マリノフスキは、西洋の文化や価値観を基準にトロブリアンド諸島の文化を評価することを避け、彼らの文化を彼ら自身の文脈の中で理解しようとしました。彼は、クマジが、トロブリアンド諸島の人々にとって、経済的な合理性だけでなく、名誉、威信、社会的な承認を得るための重要な手段となっていることを明らかにしました。
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