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マリノフスキの西太平洋の遠洋航海者と人間

マリノフスキの西太平洋の遠洋航海者と人間

マリノフスキの人間観

ブロニスワフ・マリノフスキは、20世紀初頭に活躍したポーランド出身の人類学者です。彼は、従来の進化主義的な人類学に批判的で、それぞれの文化はその内部において独自の論理と整合性を持つという「文化相対主義」を唱えました。

マリノフスキは、文化を人間の生物学的、心理的な欲求を満たすための機能的なシステムと見なしました。彼は、人間の基本的な欲求として、食料、住居、性欲などを挙げ、文化はこれらの欲求を満たすために様々な制度や慣習を生み出すと論じました。

西太平洋の遠洋航海における人間

マリノフスキは、1914年から1920年にかけて、第一次世界大戦の影響でメラネシアのトロブリアンド諸島に留まり、現地の人々の生活を詳細に観察し、参与観察という手法を確立しました。彼は、特に、経済活動、親族構造、宗教儀礼などに焦点を当て、膨大な量のフィールドワークの記録を残しました。

彼の代表作『西太平洋の遠洋航海者』(1922年)では、トロブリアンド諸島の人々の経済活動、特に「クラ」と呼ばれる遠距離交易のシステムを詳細に分析しました。マリノフスキは、クラが単なる経済活動ではなく、社会的地位、権力、威信などが複雑に絡み合った社会システムであることを明らかにしました。

彼は、航海の技術、航海の際の危険や不安、交易における交渉術など、遠洋航海に関わる様々な側面を記述することで、トロブリアンド諸島の人々の思考様式や行動様式を理解しようとしました。

マリノフスキの功績と限界

マリノフスキの研究は、それまでの進化主義的な人類学を批判し、それぞれの文化を独自の文脈の中で理解しようとする文化相対主義の考え方を広めました。彼の詳細なフィールドワークに基づいた研究は、その後の文化人類学に大きな影響を与え、現代の人類学の基礎を築いた一人として評価されています。

しかし、近年では、彼の研究に対する批判もあります。例えば、彼の研究は男性中心的な視点に基づいており、女性の役割を軽視しているという指摘があります。また、彼は文化を静的で変化のないものとして捉えがちであり、歴史的な変化や権力関係などを十分に考慮していないという指摘もあります。

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