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マリノフスキの西太平洋の遠洋航海者が扱う社会問題

マリノフスキの西太平洋の遠洋航海者が扱う社会問題

社会組織と権力

マリノフスキが研究したメラネシアの島嶼社会は、血縁と婚姻によって複雑に結びついた社会構造を持っていました。このような社会では、資源へのアクセスや社会的地位は、個人の能力よりも家系や親族集団への帰属意識によって大きく左右されました。

遠洋航海は、資源の少ない島々で生活する人々にとって、生存のために不可欠な活動でした。しかし、航海には大きな危険が伴い、成功には熟練した航海術だけでなく、船や食料の調達、航海の仲間の確保など、多くの社会的資源が必要とされました。

マリノフスキは、遠洋航海がこのような社会的な不平等を顕著に反映する場であることを指摘しました。権力を持つ首長や有力者たちは、自らの影響力や資源を使って航海を支配し、その利益を独占することで、自らの権力をさらに強化することができました。

交換と互酬性

マリノフスキは、西太平洋の島嶼社会における交換システム、特に「クラ」と呼ばれる複雑な贈与と返礼のシステムに注目しました。クラは、遠く離れた島々を結びつけ、平和的な関係を維持するための重要な社会的装置として機能していました。

遠洋航海は、クラの交換ネットワークにおいて重要な役割を果たしていました。航海者たちは、貴重な貝殻装飾品や儀式用の物品などを積み込み、遠く離れた島々を訪問しては交換を行い、その見返りとして食料や生活必需品などを受け取っていました。

しかし、クラの交換は単なる経済的な取引ではなく、名誉や威信、社会的な絆を強化するための重要な手段でもありました。贈り物をすること、そしてそれに対してより価値のある贈り物で返礼することは、個人の社会的地位や影響力を示す行為でした。

魔術と宗教

西太平洋の島嶼社会の人々は、自然の力や超自然的な存在に対して強い畏怖の念を抱いていました。遠洋航海は、予測不可能な自然環境や未知の島々への航海という、人知を超えた危険に満ちた行為でした。

マリノフスキは、人々がこのような不安や恐怖に対処するために、魔術や宗教に頼っていたことを指摘しました。航海の安全を祈願する儀式や、悪霊を追い払うための呪文、航海の成功を占う魔術などが、航海の準備や航海中に行われていました。

これらの魔術や宗教的な行為は、単なる迷信ではなく、人々に心理的な安心感を与えるとともに、共同体の結束力を高める役割も果たしていました。航海の成功は、個人の能力だけでなく、共同体の祈りの力や神々の加護によってもたらされると信じられていました。

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