マチエのフランス大革命を読む
マチエのフランス革命を読むにあたっての注意点
アルベール・マチエの『フランス革命史』（全4巻）は、フランス革命研究の金字塔と位置付けられる monumental な著作です。膨大な史料に基づいた精緻な叙述は、歴史家のみならず、フランス革命に関心を持つ多くの人々に読まれてきました。
しかしながら、マチエの著作は決して容易に読めるものではありません。本を読むにあたっては、以下の点に留意する必要があるでしょう。
まず、**分量が多い**点です。日本語版でも全4巻、3000ページを超える大著であり、完読するには相当な時間と労力を要します。
次に、**叙述が客観的かつ淡々としている**点です。マチエは感情的な表現を極力抑え、史実をありのままに記述しようと努めました。そのため、物語を読んでいるような面白さや、登場人物への感情移入は期待できません。
最後に、**前提知識が必要となる**点です。マチエはフランス革命に関する基礎知識をある程度備えている読者を想定して本書を執筆しています。そのため、フランス革命の背景や基本的な流れを事前に理解しておかなければ、内容を十分に理解することは難しいでしょう。
マチエのフランス革命の内容と特徴
マチエの『フランス革命史』は、1789年の三部会招集から1799年のブルュメールのクーデタまでを網羅した通史です。政治史を中心に据えつつも、経済、社会、文化など、多角的な視点からフランス革命を描いている点が特徴として挙げられます。
マチエは、フランス革命を単なる政治革命としてではなく、**社会構造の変革**として捉えていました。彼は、フランス革命以前の社会における身分制度や封建制の矛盾を鋭く指摘し、それらが革命の根本的な原因であったと論じています。
また、マチエは**史料批判**を重視し、一次史料に基づいた客観的な歴史記述を目指しました。彼は、従来の研究では軽視されてきた地方の公文書館にまで足を運び、膨大な量の史料を収集・分析しました。
マチエの著作は、フランス革命研究に多大な影響を与え、その後の研究の方向性を決定づけました。