マチエのフランス大革命の周辺
マチエとフランス革命の関係性
アルベール・マチエ（Albert Mathiez, 1874-1932）は、フランスの歴史家で、特にフランス革命史研究における業績で知られています。マチエは、伝統的なフランス革命史観、特にフランス革命を「フランス国民の勝利」として英雄視する見方を批判し、革命の社会的・経済的側面に焦点を当てた研究を行いました。
マチエの業績
マチエは、膨大な一次史料を駆使し、従来見過ごされてきた民衆の運動や、革命期の経済状況などを明らかにしました。 彼の主要な著作には以下のようなものがあります。
* 『フランス革命』（La Révolution française, 全3巻, 1922-1927）: マチエの主著であり、フランス革命全体の通史です。
* 『フランス革命期の経済状況と社会変動』（La Vie chère et les mouvements sociaux sous la Terreur, 1927）: 革命期の経済状況と民衆運動の関係を分析した作品です。
* 『ロベスピエールの政治思想』（Études robespierriste, 1958）: マチエは、ロベスピエールを革命の原理を貫こうとした人物として高く評価しました。
マチエの史観の特徴
マチエのフランス革命史研究は、以下のような特徴を持っています。
* **社会経済史的な視点:** マチエは、政治的な出来事の背後にある社会構造や経済状況を重視しました。
* **民衆の視点:** マチエは、従来の歴史叙述において軽視されてきた民衆の役割に注目しました。
* **階級闘争の視点:** マチエは、フランス革命を、封建的な特権を持つ貴族階級と、新しい社会秩序を求めるブルジョアジーや民衆との間の階級闘争として捉えました。
マチエの評価と影響
マチエの研究は、フランス革命史研究に大きな影響を与え、その後の歴史家の研究に多大な影響を与えました。特に、ジョルジュ・ルフェーブルやエルネスト・ラボルなど、フランス革命史のアナール学派と呼ばれる歴史家たちは、マチエの研究を継承し、発展させました。
マチエに対する批判
マチエの研究は、その革新性から高い評価を受けている一方、批判も存在します。
* **経済 determinism:** マチエは、経済状況を革命の根本的な要因として過度に重視しすぎているという批判があります。
* **ロベスピエールへの傾倒:** マチエは、ロベスピエールを英雄視する傾向があり、客観性を欠いているという批判があります。
マチエのフランス革命史研究は、その後のフランス革命史研究に大きな影響を与え、今日でも重要な研究対象となっています。