マチエのフランス大革命の原点
マチエのフランス大革命とは
アルベール・マチエが1948年から1980年にかけて発表した、フランス革命に関する歴史書です。全4部10巻からなり、膨大な史料に基づいてフランス革命の過程を詳細に描き出しています。
原点 – マチエの生い立ちと時代背景 –
マチエは1904年、フランス東部のロレーヌ地方に生まれました。第一次世界大戦の戦場となったこの地で、マチエは幼少期を過ごしました。戦争の悲惨さを目の当たりにした経験は、マチエの歴史観に大きな影響を与えたと考えられます。
歴史家としてのマチエ – アナール学派の影響 –
マチエはストラスブール大学とパリ大学で歴史学を学びました。特に、当時のフランス史学界をリードしていたアナール学派の影響を強く受けました。アナール学派は、政治や外交といった伝統的な歴史叙述にとらわれず、社会構造や経済状況、文化といった多角的な視点から歴史を捉え直そうとする学派です。マチエはアナール学派の方法論をフランス革命史研究に取り入れ、従来の政治史中心の研究とは一線を画す、新しいフランス革命像を提示しようとしました。
史料批判に基づいた実証主義 – マチエの執筆姿勢 –
マチエは史料批判を重視し、一次史料を徹底的に収集・分析しました。その結果、マチエの著作には従来見過ごされてきた史実や新しい解釈が数多く盛り込まれることになりました。マチエは、膨大な史料を駆使してフランス革命の複雑な過程を描き出すことに成功したのです。
マチエの思想 – 社会経済的な要因への着目 –
マチエはフランス革命を、単なる政治革命としてではなく、社会構造の変革を伴う「革命」として捉えました。 マチエは、フランス革命の要因を、政治的な要因だけでなく、社会経済的な要因にも求めました。 例えば、当時のフランス社会における、貴族や聖職者といった特権身分と、平民と呼ばれる第三身分との間の経済格差の拡大や、農民の窮乏などを重視しました。
民衆の役割 – マチエの新しい視点 –
マチエは、フランス革命において民衆が果たした役割を重視しました。従来のフランス革命史研究では、民衆は、革命の指導者である知識人や政治家によって扇動された、受動的な存在として描かれることが少なくありませんでした。しかし、マチエは、民衆自身が独自の意思と行動力を持って革命に参加していたことを明らかにしました。
未完に終わった大著 – マチエのフランス大革命 –
マチエは、「フランス大革命」の執筆に生涯を捧げましたが、全10巻のうち、最後の2巻は未完に終わりました。マチエの死後、彼の遺志を継いだ弟子たちによって、残された草稿やメモなどを基に、未完の部分が補完され出版されました。