## マイモニデスの迷える者の手引きの発想
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ユダヤ教神学とアリストテレス哲学の調和
「迷える者の手引き」は、マイモニデスがユダヤ教の伝統的な教えと、当時大きく影響力を持っていたアリストテレス哲学との間に見られる矛盾点に悩んでいたユダヤ教徒のために書いた書物です。マイモニデスは、両者の間には根本的な対立はなく、適切に解釈すれば調和させることができると考えました。
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理性による信仰の理解
マイモニデスは、人間には理性という神から与えられた能力があり、それを使って神の教えを理解することができるとしました。彼は、聖書の記述を文字通りに解釈するのではなく、比喩や寓意として解釈することで、アリストテレス哲学と矛盾しないばかりか、より深い理解に到達できると主張しました。
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否定神学
「迷える者の手引き」の中で、マイモニデスは否定神学と呼ばれる方法を用いて神の属性について論じています。これは、神は人間とは全く異なる存在であるため、肯定的な言葉で表現することは不可能であり、否定的な表現によってのみ間接的に理解できるとする考え方です。例えば、「神は存在する」と言うよりも、「神は存在しないものとは異なる」と言う方が適切であるとされます。
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預言と神との知性的な繋がり
マイモニデスは、預言者とは特別な能力を持った人間であり、神から啓示を受け取ると説明しています。彼は、この啓示を理性的な能力によって理解し、人々に伝えることができるとしました。預言者を通して伝えられる神の言葉は、人間の理解を超えた真理を含んでいるため、比喩や寓意を用いて表現されることがあるとマイモニデスは説明しています。