マイモニデスの迷える者の手引きの主題
迷える者とは誰か
マイモニデスは、「迷える者」を、ユダヤ教の伝統的な教えと、アリストテレス哲学という二つの知的伝統の間で、葛藤を抱えている人々と定義しています。彼らは、聖書の字義通りの解釈と哲学的真理との間に矛盾を感じ、信仰と理性の間で揺れ動いています。
迷える者を導くもの
マイモニデスは、「迷える者の手引き」の中で、ユダヤ教の伝統的な教えを、アリストテレス哲学と調和させる解釈を提示しようと試みています。彼は、聖書には、表面的な意味とは別に、寓意的な意味が隠されていると主張し、哲学的な知識を用いることによって、その真の意味を理解することができると説きます。
神について
マイモニデスは、アリストテレス哲学の影響を受けつつも、ユダヤ教における唯一神教の立場を堅持しています。彼は、神は形而上的な存在であり、人間の理解を超越した存在であると主張します。また、神を理解するためには、否定神学と呼ばれる方法を用いる必要があると説きます。否定神学とは、神について肯定的な記述をするのではなく、否定的な記述をすることによって、間接的に神の本質に迫ろうとする方法です。
預言と啓示
マイモニデスは、預言者とは、神から特別な啓示を受けた人間であると定義しています。彼は、モーセは他の預言者とは異なり、直接神から啓示を受けた特別な存在であると主張します。また、預言の内容は、寓意的に解釈する必要があると説きます。
倫理と道徳
マイモニデスは、倫理と道徳は、人間の理性によって認識することができると主張します。彼は、アリストテレスの徳倫理の影響を受け、人間は、知性と意志を用いることによって、善悪を判断し、正しい行動をとることができると説きます。また、彼は、ユダヤ教の律法は、人間を倫理的に正しい行動へと導くための実践的な指針であると解釈しています。