## マイネッケの近代史における国家理性の理念の話法
歴史叙述における「個」の重視
マイネッケは、ランケの史料批判を継承しつつも、歴史を単なる事実の羅列と見なす立場には与しませんでした。彼にとって歴史とは、個々の国民、国家、時代に固有の「個性的力」の展開として理解されるべきものでした。
彼は、各時代や国家はそれぞれ独自の「理念」を持っており、その理念が歴史の中で具体的な形を取っていく過程こそが歴史の真の姿であると考えました。
「国家理性」という概念
マイネッケが歴史を分析する上で重要な概念が「国家理性」です。
これは、各国家が歴史の中で自己保存と発展のために形成してきた、固有の行動原理や思考様式を指します。
彼は、国家は単なる個人の集合体ではなく、独自の意志と理性を備えた「個体」であると考え、歴史はこの「国家理性」同士の相互作用によって展開すると捉えました。
「力」と「道徳」の相互作用
マイネッケは、国家理性の展開を「力」と「道徳」の相互作用として捉えました。
「力」とは、国家が自己保存のために必要な軍事力や経済力といった現実的な力を指します。
一方、「道徳」は、国民統合の基礎となる文化や伝統、倫理観といった精神的な力を指します。
彼は、国家は「力」のみを追求するのではなく、「道徳」に基づいた行動をとることで、真の繁栄を達成できると考えました。
歴史における「普遍性」と「個別性」
マイネッケは、歴史には「普遍性」と「個別性」という二つの側面があると考えました。
彼は、国家理性は各国家に固有のものであり、その展開は多様性を示すとしながらも、同時に、歴史全体を貫く普遍的な法則が存在すると考えました。
彼の歴史観においては、「個別性」は「普遍性」と対立するものではなく、むしろ「普遍性」は「個別性」を通して具体的に実現されるものとして理解されています。
客観的な歴史叙述への志向
マイネッケは、歴史家の使命は、史料に基づいて過去の事実を客観的に叙述することであると考えました。
彼は、歴史叙述における主観的な価値判断を排除し、あくまでも史料が語る事実をありのままに提示しようとしました。
しかし、彼の歴史観は、歴史における「国家理性」や「道徳」といった概念に依拠しており、完全に客観的な歴史叙述を実現できたかどうかについては議論があります。