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マイネッケの近代史における国家理性の理念の原点

## マイネッケの近代史における国家理性の理念の原点

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マイネッケにおける「国家理性」の位置づけ

マイネッケにとって「国家理性」(Staatsräson)は、近代国家の形成とその展開を理解する上で重要な鍵となる概念です。彼は主著『近代史における国家理性の理念』(Die Idee der Staatsräson in der neueren Geschichte)において、この概念を歴史的に分析し、その変遷を明らかにしようと試みました。

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マキャベリの影響:現実主義と道徳の相対化

マイネッケは、近代における国家理性の萌芽を、ニッコロ・マキャベリの政治思想に見出します。マキャベリは『君主論』において、君主の政治的成功のために、伝統的なキリスト教倫理を超越した、現実主義的な行動規範を説きました。

マイネッケは、マキャベリが、中世的な道徳規範に束縛されない、政治独自の論理を明確に打ち出した点に注目します。マキャベリにおいては、政治の目的は、国家の維持と拡大にあり、そのために必要な手段は、道徳的な善悪の判断とは切り離して、冷徹に選択されなければなりません。

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国家理性の発展:絶対主義国家における展開

マイネッケは、16世紀から17世紀にかけてのヨーロッパにおける絶対主義国家の台頭を、国家理性の理念が具体的な形態を獲得していく過程として捉えます。絶対主義国家は、国内の諸勢力を統合し、強力な中央集権体制を確立することで、国家の権力と安全を最大化しようとしました。

この過程において、国家理性は、君主の権力行使を正当化する論理として機能しました。国家の利益のためであれば、君主は、いかなる手段を用いることも許されると考えられました。

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近代国家における国家理性の変容

マイネッケは、18世紀後半以降、啓蒙主義の影響や市民社会の発展に伴い、国家理性の理念も変容を遂げていくと指摘します。啓蒙主義は、人間の理性に基づく普遍的な道徳や法の支配を重視しました。

その結果、国家の行為も、単なる権力や利益の論理ではなく、理性や道徳に基づいて判断されるべきだという考え方が広まりました。さらに、市民社会の発展は、国家に対する個人の権利意識を高め、国家の権力行使に対する制限を強める方向に作用しました。

このように、マイネッケは、近代における国家理性の理念を、マキャベリにその起源を認めつつ、歴史的な文脈の中で捉え、その変遷を明らかにしようとしました。

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