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マイネッケの歴史主義の成立を読んだ後に読むべき本

マイネッケの歴史主義の成立を読んだ後に読むべき本

歴史主義の運命

マイネッケの『歴史主義の成立』を踏まえて次に読むべき一冊として、J.G.ドロイゼンの『歴史主義の運命』を挙げたいと思います。『歴史主義の成立』がランケ、ブルクハルト、ゴットシャルクらの歴史叙述を分析することで19世紀ドイツ歴史学における歴史主義の成立過程を精緻に描き出したのに対し、『歴史主義の運命』は、歴史主義の成立を可能にした18世紀的なるものからの精神史的離反という観点から、より大きな歴史的文脈において歴史主義を捉え直そうとする意欲的な著作です。

ドロイゼンは、歴史主義の根底には、啓蒙主義が生み出した進歩史観や普遍的な理性への信頼に対する批判があると指摘します。彼によれば、歴史主義は、人間精神の多様性や歴史過程の非連続性を強調することで、啓蒙主義的な歴史観を相対化しようとしました。そして、歴史主義は、客観的な歴史法則の探求を放棄し、個々の時代や文化に固有な価値観や意味世界を理解することにその主眼を置いたのです。

ドロイゼンは、ヘルダー、ランケ、ブルクハルトといった歴史家を分析しながら、歴史主義がいかにして成立し、発展していったのかを明らかにするとともに、その限界についても鋭く指摘しています。彼は、歴史主義が陥りやすい相対主義やニヒリズムの危険性を警告し、歴史学が真に意味を持つためには、客観性と相対性の間でいかにバランスをとるかが重要であると主張します。

『歴史主義の運命』を読むことで、私たちは、マイネッケが描き出した歴史主義の成立過程をより広い視野から捉え直すことができます。また、歴史主義の持つ可能性と限界についてのドロイゼンの洞察は、現代における歴史学のあり方を考える上でも示唆に富むものと言えるでしょう。

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