## マイネッケの歴史主義の成立の関連著作
ヨハン・ゴットフリート・ヘルダー：『歴史哲学講義』
ヘルダーは、歴史における個々の文化や国民の独自性を重視し、普遍的な歴史法則を否定しました。彼は、各文化はそれぞれ独自の「民族精神」を持ち、その精神に基づいて発展すると考えました。これは、後年のマイネッケの歴史主義における個体性の重視に影響を与えたと考えられます。
ジャン＝ジャック・ルソー：『人間不平等起源論』『社会契約論』
ルソーは、理性や啓蒙によって歴史が進歩するという啓蒙主義的な歴史観を批判し、自然状態から文明社会への移行によって人間はむしろ堕落したと主張しました。彼の思想は、歴史の進歩に対する懐疑を呼び起こし、歴史を相対的に捉える風潮を生み出す一助となりました。
イマヌエル・カント：『歴史の考察から推測される世界市民的見地からの普遍史の理念』
カントは、歴史は人間の自由意志に基づく進歩の過程であると考えました。彼は、歴史は最終的に理性に基づく世界市民社会の実現に向かうと予測し、「歴史の目的」という概念を提示しました。カントの歴史哲学は、ヘーゲルの歴史哲学に大きな影響を与え、間接的にマイネッケの歴史主義にも影響を与えた可能性があります。
ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル：『歴史哲学講義』
ヘーゲルは、歴史を「絶対精神」が自己実現していく過程と捉え、弁証法的な歴史観を展開しました。彼は、歴史における個々の時代や出来事は、絶対精神の自己展開における必然的な段階であると主張しました。ヘーゲルの歴史哲学は、歴史の進歩に対する強い信念に基づいており、マイネッケはヘーゲルの歴史哲学を批判的に継承しつつ、歴史主義を確立しました。
レオポルト・フォン・ランケ：『ラテン・ゲルマン民族史』
ランケは、史料批判に基づいた実証的な歴史研究を重視し、「歴史をありのままに描く」ことを主張しました。彼は、ヘーゲルの歴史哲学のような思弁的な歴史解釈を批判し、客観的な歴史記述を目指しました。ランケの実証主義的な歴史学は、マイネッケの歴史主義に大きな影響を与えました。
これらの著作は、マイネッケの歴史主義の成立に影響を与えたと考えられる多様な思想的潮流を示しています。マイネッケは、これらの先行研究を批判的に継承しつつ、歴史における個体性の重視、歴史の相対性、史料批判に基づいた実証的な歴史研究という、歴史主義の主要な要素を確立しました。