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ポーリングの化学結合論の構成

ポーリングの化学結合論の構成

ポーリングの化学結合論とは

ライナス・ポーリングが1939年に発表した著書「The Nature of the Chemical Bond and the Structure of Molecules and Crystals: An Introduction to Modern Structural Chemistry」は、化学結合の本質について深く考察し、現代の化学構造論の基礎を築いた画期的な著作として知られています。ポーリングは量子力学の原理を化学結合に応用することで、それまで経験則に基づいていた化学結合の理解を飛躍的に発展させました。

本書の構成

ポーリングの化学結合論は、全7章と2つの付録から構成されています。

第1章:原子構造

本章では、化学結合の理解に必要な原子構造の基礎知識について解説されています。まず、原子を構成する電子、陽子、中性子の性質について述べ、続いて量子力学の基本的な概念である電子の二重性、量子数、原子軌道などが紹介されています。さらに、水素原子や多電子原子における電子のエネルギー準位や電子配置についても詳しく解説されています。

第2章:イオン結合

本章では、イオン結合の概念とその性質について解説されています。イオン化エネルギー、電子親和性、クーロン力などの概念を用いながら、イオン結合の形成過程やイオン結晶の構造について説明されています。また、イオン半径や格子エネルギーといったイオン結晶の性質を左右する要因についても考察されています。

第3章:共有結合

本章では、ポーリングの業績の中核をなす共有結合の概念とその性質について詳しく解説されています。水素分子における共有結合の形成を例に挙げながら、原子価結合法(VB法)に基づいた共有結合の解釈が紹介されています。また、混成軌道や共鳴などの重要な概念についても解説し、様々な分子の構造や性質を説明しています。

第4章:部分イオン結合

本章では、イオン結合と共有結合の中間的な結合である部分イオン結合について解説されています。電気陰性度の概念を用いながら、結合の極性や分子の双極子モーメントについて説明されています。

第5章:結合の回転と振動

本章では、分子内の結合の回転と振動について解説されています。分子の振動スペクトルや回転スペクトルから得られる情報をもとに、結合の長さや結合の強さといった分子の性質を明らかにする方法について述べられています。

第6章:分子の構造

本章では、これまでに解説した化学結合の概念を用いて、様々な分子の構造について考察しています。有機化合物や無機化合物における代表的な結合様式や分子の立体構造について解説し、構造と化学的性質の関係性についても述べられています。

第7章:結晶構造

本章では、結晶構造の基礎と様々な種類の結晶について解説されています。ブラベー格子を用いた結晶構造の分類や、金属結晶、イオン結晶、共有結合結晶、分子結晶といった代表的な結晶構造の特徴について述べられています。

付録

付録には、本書で用いられている数学的な概念や物理定数の表などがまとめられています。

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