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ポーリングの化学結合論の企画書

## ポーリングの化学結合論の企画書

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執筆の背景

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、物理学において量子力学が誕生し、原子や分子の構造に対する理解が大きく進展しました。特に、1927年に発表されたハイゼンベルクの不確定性原理や、シュレーディンガーによる波動方程式は、化学結合の本質を理解する上で重要な概念を提供しました。

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本書の目的

本書は、当時発展途上にあった量子力学の知見に基づき、化学結合の本質を体系的に解説することを目的とします。従来の化学結合論は、経験的な規則に基づいた記述的なものに留まっていましたが、本書では量子力学的な観点から、化学結合の形成とその性質を統一的に説明することを目指します。

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本書の内容

本書では、以下の内容について詳述する予定です。

* 量子力学の基礎:化学結合を理解するために必要な量子力学の基礎的な概念について解説します。具体的には、シュレーディンガー方程式、原子軌道、パウリの排他原理、Hundの規則などを扱います。
* 原子価結合理論:原子同士が電子を共有することで形成される化学結合について解説します。特に、水素分子を例に挙げ、共有結合の概念を導入します。また、混成軌道や共鳴などの概念についても解説し、より複雑な分子の結合状態についても説明します。
* 分子軌道法:分子を構成する原子全体を考慮し、分子軌道を用いて化学結合を説明する方法について解説します。結合性軌道と反結合性軌道の概念を導入し、分子軌道のエネルギー準位図を用いた結合次数や結合エネルギーの算出方法について説明します。
* 電気陰性度:原子間の結合における電子の偏りを表す指標である電気陰性度について解説します。電気陰性度の差と結合の極性との関係、および分子の極性との関連について説明します。
* 分子の構造と性質:化学結合と分子の構造、分子の性質との関係について解説します。結合角、結合距離、分子の極性、分子の対称性などを扱い、それらの性質が分子の反応性や物性にどのように影響するかを説明します。

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対象読者

本書は、化学を専攻する大学生、大学院生、および化学研究者を読者対象としています。量子力学の基礎知識を有していることを前提としていますが、化学結合に関する基礎的な知識は必ずしも必要としません。

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本書の構成

本書は、全10章で構成される予定です。各章の内容は以下の通りです。

* 第1章:序論
* 第2章:量子力学の基礎
* 第3章:原子構造と周期律
* 第4章:イオン結合
* 第5章:共有結合
* 第6章:原子価結合理論
* 第7章:分子軌道法
* 第8章:化学結合と分子の構造
* 第9章:化学結合と分子の性質
* 第10章:化学反応と化学結合

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参考文献

本書の執筆にあたり、以下の参考文献を参考にする予定です。

* W. Heitler and F. London, “Wechselwirkung neutraler Atome und homöopolare Bindung nach der Quantenmechanik”, Zeitschrift für Physik, 44, 455-472 (1927).
* L. Pauling, “The Nature of the Chemical Bond”, Journal of the American Chemical Society, 53, 1367-1400 (1931).
* F. Hund, “Zur Deutung der Molekelspektren. I”, Zeitschrift für Physik, 40, 742-764 (1927).
* R. S. Mulliken, “Electronic Structures of Polyatomic Molecules and Valence. II. General Considerations”, Physical Review, 41, 49-71 (1932).

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