ボーヴォワールの人間についてと人間
ボーヴォワールの考える「人間」
シモーヌ・ド・ボーヴォワールは、20世紀を代表するフランスの哲学者であり、フェミニズムの先駆者としても知られています。彼女は、実存主義の立場から、人間存在の根本的な自由と、その自由に伴う責任について考察しました。
「実存は本質に先立つ」ということ
ボーヴォワールの思想において重要なのは、「実存は本質に先立つ」というサルトルの言葉に代表される実存主義の考え方です。これは、人間にはあらかじめ決められた本質や目的は存在せず、まず世界に「投げ込まれた」存在として実存し、その後の自らの選択と行動によって、自らを創造していくのだとする考え方です。
女性の「他者性」
ボーヴォワールは、この実存主義的な視点から、女性の立場を考察しました。彼女は、歴史的に女性は男性にとっての「他者」として位置づけられてきたと指摘します。つまり、男性が「主体」としてその本質を自由に実現していくのに対し、女性は男性にとっての「客体」であり、男性の価値観や欲望によって規定された存在として扱われてきたというのです。
自由と責任
しかし、ボーヴォワールは、女性もまた人間として、男性と同じように自由で責任ある存在であることを主張します。女性は、社会や男性からの抑圧に屈することなく、自らの手で未来を切り開いていくことができる。彼女は、女性の解放とは、単に男性と同様の権利や機会を得ることではなく、自らの可能性を信じ、主体的に人生を選択していくことだと考えました。