## ボワソナードの刑法草案註解の面白さ
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近代日本の夜明けに響くフランス法の調べ
「ボワソナードの刑法草案註解」は、フランス人法学者ギュスターヴ・エミール・ボアソナードが明治政府の依頼を受け、起草した旧刑法の草案とその詳細な解釈をまとめた書物です。
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異文化が交錯する法律解釈の妙
本書最大の魅力は、フランス法と日本文化の融合を図ろうとするボアソナードの苦闘と創意工夫を随所に感じ取れる点にあります。彼は、西洋法の概念を当時の日本人に理解しやすいように、日本の慣習や道徳観と関連付けながら解説を試みています。例えば、フランス法における「名誉毀損罪」の説明において、日本の武士社会における名誉の重要性を引き合いに出すなど、具体的な事例を交えながら、日本社会への適合を模索した跡が窺えます。
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歴史のifを垣間見る知的冒険
ボアソナードの草案は、結局採用されずにドイツ法を基にした刑法が施行されることになりました。しかしながら、もしも彼の草案が採用されていれば、日本の法体系は大きく異なったものになっていたかもしれません。本書を読み込むことで、近代日本の法整備における重要な分岐点に立ち会い、歴史のifに思いを馳せる知的冒険を楽しむことができるでしょう。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。