ボワソナードの刑法草案註解に影響を与えた本
フランス刑法典
ボアソナードの刑法草案註解に影響を与えた一冊として、まず挙げられるのは「フランス刑法典」です。1810年に制定されたこの法典は、近代刑法の基礎を築いた画期的なものであり、その影響はフランス国内にとどまらず、世界各国に波及しました。日本も例外ではなく、明治政府が近代的な法典編纂に着手するにあたって、フランス刑法典は主要な参考資料とされました。
ボアソナードは、明治政府に招聘された外国人法律家の一人であり、日本の刑法制定に深く関わりました。彼は、フランス刑法典を深く研究しており、その基本理念や条文構成を高く評価していました。ボアソナードの刑法草案註解には、フランス刑法典の条文や解釈が多数引用されており、彼がフランス刑法典を参考にしながら日本の刑法草案を作成していたことがうかがえます。
例えば、罪刑法定主義や責任主義といった近代刑法の基本原則、刑罰の種類や量刑に関する規定、故意や過失といった犯罪の構成要件に関する規定など、ボアソナードの刑法草案註解には、フランス刑法典の影響が色濃く反映されています。
ボアソナードは、単にフランス刑法典を模倣するのではなく、日本の歴史や文化、社会状況などを考慮しながら、日本の実情に合った刑法典の作成を目指しました。しかし、フランス刑法典がボアソナードの刑法草案註解に大きな影響を与えたことは、疑いの余地がありません。