ボワイエの啓蒙哲学入門の構成
第1章 啓蒙主義とは何か
本章では、17世紀後半から18世紀にかけてヨーロッパを中心に起こった、大きな社会変動と結びついた知的・文化的運動としての啓蒙主義を概観します。
歴史的な視点と哲学的な視点の両方から、啓蒙主義の特徴、背景、展開を解説していくことで、本書全体を理解するための基礎を提供します。
また、啓蒙主義が後世に与えた影響についても触れ、その意義を考察します。
第2章 理性の時代
本章では、啓蒙主義において中心的な役割を果たした「理性」という概念に焦点を当てます。
デカルト、スピノザ、ライプニッツといった合理主義哲学者の影響や、ニュートンによる近代科学の勃興が、啓蒙主義における「理性」への信頼を強めたことを解説します。
また、啓蒙主義における「理性」は、単なる論理的思考能力ではなく、偏見や迷信から解放され、自ら判断し行動する力として捉えられていたことを示します。
第3章 政治と社会
本章では、啓蒙主義の思想が政治や社会の領域にどのように展開されたのかを考察します。
ロック、モンテスキュー、ルソーといった思想家の政治哲学を概観し、彼らがどのようにして従来の政治体制や社会構造を批判し、新しい社会の理想を描こうとしたのかを探求します。
特に、自然権、社会契約、人民主権、権力分立といった重要な概念を解説することで、現代社会にも通じる普遍的な価値観を提示します。
第4章 宗教と道徳
本章では、啓蒙主義における宗教観と道徳観について解説します。
啓蒙主義は、伝統的な宗教的権威や教義に対する批判から生まれ、理性を重視する立場から宗教を捉え直そうとしました。
自然神教や理神教といった新しい宗教思想、ヴォルテールによる宗教的寛容の主張、ヒュームによる宗教批判などを紹介しながら、啓蒙主義における宗教との複雑な関係を明らかにします。
また、理性に基づいた道徳の確立を目指したカントの道徳哲学にも触れ、啓蒙主義における道徳思想の深まりを示します。
第5章 文化と芸術
本章では、啓蒙主義の思想が文化や芸術に与えた影響について解説します。
百科全書派の活動やサロン文化、啓蒙専制君主による文化振興などを紹介し、啓蒙主義がどのように社会全体に浸透していったのかを明らかにします。
また、文学、音楽、美術といった分野における具体的な作品を取り上げながら、啓蒙主義の思想がどのように表現されたのかを分析します。
第6章 啓蒙主義の遺産
最終章では、啓蒙主義が現代社会に何を遺したのか、その意義と限界について考察します。
啓蒙主義が近代社会の形成に大きく貢献した一方で、その思想には限界や問題点も存在します。
現代社会における課題や問題点を踏まえながら、啓蒙主義の遺産を批判的に継承することの重要性を論じます。