## ボルヘスのバベルの図書館の主題
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宇宙の無限性と有限性
バベルの図書館は、六角形の部屋が無限に続く迷宮のような構造をしています。これは、無限に広がる宇宙を象徴していると解釈できます。作中では、図書館の正確な広がりは誰にもわからないとされていますが、有限である可能性も示唆されています。このことから、ボルヘスは、人間にとって無限の概念を真に理解することは不可能である一方、有限の世界に閉じ込められているというジレンマを描いているとも考えられます。
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知識の網羅性と無意味さ
図書館には、あらゆる可能な文字の組み合わせで構成された書籍が収められています。これは、世界のあらゆる知識、過去・現在・未来の出来事、さらにはあり得たかもしれない歴史までもが記録されていることを意味します。しかし、同時にそれは、無意味な文字列や誤った情報、重複する内容の書物もまた無限に存在することを意味します。ボルヘスは、知識の網羅性が必ずしも真理や意味の発見に繋がるとは限らないというパラドックスを提示していると言えるでしょう。
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人間の探求と絶望
図書館の住人たちは、「真の書物」を求めて、終わりなき書架の間を彷徨い続けます。真の書物とは、世界の謎を解き明かす究極の知識が記された書物のことです。しかし、その探索は困難を極め、多くの者が狂気に陥ったり、自らの命を絶ったりします。これは、真理を求める人間の終わりのない探求心と、その探求がもたらす絶望、そして、無限の可能性を前にした人間の無力さを象徴していると考えられています。