## ボルヘスのバベルの図書館と言語
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図書館の構造と蔵書
ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編小説「バベルの図書館」は、果てしなく続く六角形の部屋が無数に連結した、巨大な図書館を舞台としています。それぞれの部屋には、壁一面に本棚が設置され、同じ様式の書籍が規則正しく並んでいます。
書物の内容は、既知のアルファベットに加え、いくつかの句読点のみを用いて、可能な限りの組み合わせで記された文字列によって構成されています。
これは、図書館に存在する書物の数が有限であることを意味しますが、同時に、その数は天文学的に大きく、人間が一生をかけて探索できる範囲をはるかに超えています。
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言語と意味の探求
図書館の住人たちは、この膨大な蔵書の中に、あらゆる知識、あらゆる物語、そしてありとあらゆるナンセンスが収められていると信じています。
彼らは、意味のある文章、真実を記した書物、さらには自身の運命が書かれた書物を探し求めて、図書館内をさまよい続けます。
しかし、ランダムな文字の羅列の中から意味を見出すことは容易ではありません。
図書館には、意味不明な文字列の中に、わずかな単語や文を見つけ出し、そこに何らかのメッセージを読み取ろうとする人々も存在します。
彼らは、断片的な情報から全体像を推測しようと試み、時には、自分たちの解釈こそが真実であると主張し、対立を生み出すことさえあります。
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言語の限界と無限の可能性
「バベルの図書館」は、言語の限界と無限の可能性を同時に描き出しています。
図書館の蔵書は、有限の記号を用いて表現できる情報の総体を表しているとも言えます。
しかし、その組み合わせは無限に近く、人間がそのすべてを理解することは不可能です。
また、意味のある文章と、ランダムな文字列との境界は曖昧です。
それは、解釈する側の知識や経験、そして信念によって大きく左右されます。