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ボッカチオのデカメロンを読んだ後に読むべき本

ボッカチオのデカメロンを読んだ後に読むべき本

ジョヴァンニ・ボッカチオの影に隠れた中世の物語作者たち

『デカメロン』を堪能した読者は、ボッカチオの物語の枠組みと、ペスト禍という極限状態に置かれた人々の姿を鮮やかに描き出す筆致に魅了されたことでしょう。14世紀イタリアの日常と、人間の普遍的な欲望や滑稽さが織りなす物語世界は、現代の私たちをも惹きつけて止みません。

しかし、『デカメロン』は、中世ヨーロッパの物語文学における巨大な iceberg の一角に過ぎません。ボッカチオと同時代、あるいはそれ以前にも、数多くの物語作家たちが活躍し、様々な形で人間の喜怒哀楽を紡ぎ出していました。

そこで、『デカメロン』をより深く味わうために、ボッカチオの影に隠れた中世の物語作者たちの作品世界に触れてみることをお勧めします。ボッカチオの作品と比較することで、物語の構造やテーマ、登場人物の造形など、新たな発見があるはずです。

ジェフリー・チョーサーの『カンタベリー物語』

ボッカチオと同時代のイギリスでは、ジェフリー・チョーサーが『カンタベリー物語』を執筆していました。こちらは、巡礼に向かう様々な身分の男女30人が、旅の道中で物語を語り合うという構成で、当時の社会風俗や人間模様を生き生きと描いています。

『デカメロン』と同様に、社会の縮図ともいえる登場人物たちが、恋愛、冒険、宗教、道徳など、多岐にわたるテーマの物語を繰り広げます。ボッカチオ作品との共通点や差異を見つけることで、それぞれの作家が持つ世界観や人間観をより深く理解することができます。

『千一夜物語』

中世アラブ世界を代表する物語集『千一夜物語』も、『デカメロン』と比較して読むと興味深い作品です。

シェヘラザードが、王シャフリヤールに毎晩物語を聞かせることで、自身の命を繋ぎ止めようとするという壮大な枠物語の中に、様々なジャンルの物語が埋め込まれています。恋愛、冒険、教訓譚など、バラエティ豊かな物語は、『デカメロン』と共通する娯楽性を持ちながらも、エキゾチックな世界観が魅力です。

東西の物語文学の巨匠であるボッカチオと『千一夜物語』の語り手たちを比較することで、人間の想像力が生み出す物語世界の広がりと奥深さを実感できるでしょう。

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