Skip to content Skip to footer

ボッカチオのデカメロンの表現

ボッカチオのデカメロンの表現

物語の枠組み

ペスト禍から逃れた男女10人が、フィレンツェ郊外の丘の上で10日間の日々を物語でつなぐという枠物語形式をとっています。この物語構造により、多様な登場人物、舞台設定、筋書きが、一つの統一された作品に織り込まれています。

多様な語り口

各語り手は異なる社会的背景や性格を持っており、それが物語の語り口にも反映されています。貴族階級から庶民まで、男女の別、年齢差など、多様な語り手がそれぞれの個性を生かした語り口で物語を紡ぎだします。喜劇的な語り口、悲劇的な語り口、皮肉や風刺を交えた語り口など、物語の内容と語り手の個性が巧みに組み合わされています。

写実的な描写

14世紀のイタリア社会、特にフィレンツェの風俗や習慣、人々の生活が生き生きと描写されています。ペストの流行による社会の混乱、教会の腐敗、当時の道徳観や恋愛観などが、物語を通して浮き彫りにされています。

古典からの影響

オウィディウスやアプレイウスなどの古典作品からの影響が随所に見られます。物語の構成やモチーフ、登場人物の造形などに、古典作品のエッセンスが取り入れられ、作品に深みを与えています。

トスカーナ方言の使用

当時の文学の主流であったラテン語ではなく、作者の母語であるトスカーナ方言で書かれています。これにより、より口語的で生き生きとした表現が可能となり、幅広い読者層を獲得することに成功しました。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5