ボエティウスの哲学の慰めを読んだ後に読むべき本
マルクス・アウレリウス著 自省録
『哲学の慰め』が、不当な投獄という逆境にあるボエティウスに語りかける哲学の姿を描いているように、『自省録』は、ローマ皇帝としての重責や人生の苦難の中で、ストア哲学に慰めを見出すマルクス・アウレリウスの内的対話を記録したものです。
『哲学の慰め』で、女神哲学がボエティウスに、真の幸福は外的状況ではなく内的状態にのみ存在すると説くように、『自省録』でも、アウレリウスは、我々を苦しめるのは出来事そのものではなく、それに対する我々の解釈であると説きます。彼は、理性に従って生き、運命を受け入れ、徳を追求することの重要性を強調します。
ボエティウスが、不運によって失われた富や名声の空しさを洞察する一方、アウレリウスは、皇帝としての権力や栄光ですら、真の幸福をもたらすものではないと悟ります。両者とも、外的状況を超えた、より高次の精神的な充足を求めている点で共鳴します。
『自省録』は、『哲学の慰め』で提示されたストア哲学的テーマ、すなわち、運命の受け入れ、理性に従った生き方、徳の追求などを、より実践的な視点から探求する機会を提供します。アウレリウスの個人的な省察は、我々自身の日常生活における苦難や不安に対処するための指針となりえます。